気になるこの人

テキスト&イラスト・芦之由
2008年9月12日

ブストス・フォーエバー

帰国後テレビに引っぱりだこだった北京オリンピックの日本女子ソフトボールチーム。とくに上野由岐子投手は大人気だったね。
そこで思ったのだが、アメリカチームのブストス選手も日本のテレビからラブコールを受けてるんじゃないだろうか。あれだけキャラの立った人を日本のテレビ界が放っておくわけない。

思えば決勝戦の日本vsアメリカは上野vsブストスともいえる闘いだったね。ブストス選手という好敵手がいたからこそ盛り上がったとも言えるし、ブストス選手のおかげで上野投手も力を出し尽くせたのかもしれない。

【イラスト】上野投手vsブストス選手
アンパンマン好きの上野投手はブストス選手も好き?

日本サイドから見れば主役が上野投手で敵がブストス選手なのだが、当然アメリカサイドから見ればブストス選手が主役。視点を変えてみると、ブストスストーリーはちょっと悲しいエンディングだ。

北京オリンピックで代表を引退するCrystl Bustosの最終打席は敬遠の四球だった。ソフトボールでは、申告すると実際に投げずとも四球となるルールがある。試合時間短縮のためアメリカの考えたルールにより、アメリカの四番は打席に立つことさえできずにバットを置くこととなった。

4回には日本のUenoから本塁打を放った。しかし、このホームラン以降、より慎重になったUenoの前に、アメリカ打線は沈黙することとなる。
最終回、ランナーが三人出れば自分に回ってくる。わずかな望みに賭けるBustosだったが、最後の打者が三塁ゴロに倒れるのをベンチで見つめることとなった。

北京オリンピックで日本には2度勝っていた。しかし3度目の対戦に敗れての銀メダル。シドニーで6本、アテネで5本、北京で6本のホームランを放ったスラッガーは、最後の大会で三大会連続の金メダルを胸に輝かせることはできなかった。

ブストス選手は、試合後真っ先に日本選手に握手を求めていたと伝えられている。人柄はよく、心優しき力持ちなんだとか。
なお、日本では“ブス”トスという呼び名が広まってるが、バストスと表記される場合もあるし、なにより整った顔立ちをしている。

夏休み明けの日本の学校で、ぽっちゃり女の子がみんな「ブストス」というあだ名を付けられないかしらと心配したのだが、どうなんだろう。やっぱりブストスには日本のテレビに出てもらって、いい人、ブスじゃない、と日本国民に認識してもらったほうがいいのかも。

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