第4回「Beautiful Fighter」鬼束ちひろ
さて、このコーナーも4回目を向かえ、そろそろ流れをつかんできたかなと思いきや、いきなりの、更新遅れです。ごめんなさい。曲セレクトは済ませていたんですけど、書くのが間に合わなかった。←あーーん、言い訳。来週からは心を入れ替えて、頑張りますので、見捨てないでね。
●鬼束ちひろって?
(→公式サイト)
1980年宮崎県生まれ。2000年2月に「シャイン」でデビュー。2枚目のシングル「月光」が、仲間由紀恵主演のテレビドラマ「トリック」のテーマソングになり、ヒット。2001年12月には「眩暈」で日本レコード大賞 作詞賞を受賞。言葉に力のあるシンガーソングライターとして、認知されている。っていうか、まだ22歳かよ!
■衝撃的な歌詞
鬼束ちひろの書く歌詞には、衝撃的な言葉がよく使われる。そして、この「Beautiful Fighter」も例外でなく以下のような言葉に目がとまった。
バナナの薬
義足
これらの言葉が、これまで誕生した歌の歌詞に登場したことがあっただろうか? 答えは、おそらく「NO」だろう。
まず、「バナナの薬」という言葉。「バナナ」、「薬」という単体ではいくらでも歌詞に登場する。しかし「バナナの薬」? 正直、私は知らない。そこで、ネットで検索してみた。どうやら、民間療法として、バナナは薬として使われているようだ。大腸炎、解熱に効いたり、腰の病気や体がだるいときに効いたりするらしい。彼女は、そのことを知ってこの言葉を使ったのだろうか? 実に気になるところだ。もし、そういうことを知らず、彼女自身のオリジナルの言葉として使われたものであれば、それもまた趣深い。バナナという鮮やかな黄色の物体があまりにもこの曲に似合わなく思えるからだ。そのミスマッチがいい効果になっている。
そして、もうひとつ「義足」。この言葉には本当に驚いた。なぜなら、歌詞として歌われる言葉として認識したことがないからだ。そして、思ったのは、今年の甲子園。今夏、開催された第85回全国高校野球選手権大会に愛媛県の代表として出場した今治西高の曽我健太三塁手。彼は、5歳の時に左足首から下を切断。左足のひざ下から義足をつけている。だが、「義足をハンディと考えたことはない」と語り、他の選手と変わらず活躍している。鬼束ちひろが、この事を意識して、選んだ言葉なのかどうか私は確認できていないが、その可能性もあるなと思っている。
これらの言葉は、使い方や歌う人のキャラクターで活きることもあるが、歌い手に力がないと、楽曲事態を損なう可能性がある。そういう意味でも、彼女のボーカル力、存在感の強さを感じる。
そして、もうひとつ気にとめた言葉が
無差別に等しいまね
「差別」という言葉は強い。それを非常に分かりにくく、「無差別に等しいまね」とする。どう捕らえればいいのか? 「差別をしない振り」とでも読み解けばいいのか? 直前に呼びかけとして存在する、「Sister.Low」この「Low」が、「低い」のLowであれば、差別という言葉が含む、優越や劣等に通じる言葉となる。
■もしや、ジャンヌ・ダルク?
さて、次にタイトルである「Beautiful Fighter」。美しき戦士。この言葉を聞いて、私が思い浮かべるのはジャンヌ・ダルク。1338年から1453年まで続いた百年戦争の戦況を転換させた女性戦士。羊飼いの娘であるジャンヌ・ダルクは、神の声を聞き、祖国の為に戦いたいと申し出、兵を率い、フランスを勝利に導いたのだ。そんな彼女は、現代でも戦う女性の象徴として例に出されることが多い。この歌詞の「Beautiful Fighter」には、性別の明記はないから、これは、あくまで私のイメージですけど。 ジャンヌ・ダルクについては、こちらを参照して下さいね。 この週の7位にジャンヌダルクというバンドが居るのも何かの縁かな?
■分析はこのへんで
歌詞の言葉をひとつずつ拾って、今回は書いてみた。でも、これは、ひとつの考えてあって、決して正解ではない。受け取り方は人それぞれでいいのだ。大衆に向かって投げられた曲は、作者さえもコントロールできないものとなって、世の中に流れるのだから。
公開:2003/09/05 TEXT・みど(c) 2003 RGS680,all rights reserved.