第17回「掌/くるみ」Mr.Children
椎名林檎の「りんごのうた」。母となった彼女が新しい世界を見せてきた。そう、アーティストがどうやって生き抜くかっていうと、こういう演出も大事だよね。今までの自分を裏切るような変化。それを新たな自分の武器にするってこと。そして、再浮上のポルノグラフィティ、彼らの人気がそれほど高かったと驚きつつ、楽曲の力もあるんだろうなと思うよ。あっ! EXILEは2曲ランクインか。
●Mr.Childrenって?
(→公式サイト)
☆桜井和寿 (Vo.)1970年03月08日生 O型
☆鈴木英哉 (Dr.)1969年11月14日生 A型
☆田原健一 (G.)1969年09月24日生 O型
☆中川敬輔 (B.)1969年08月26日 B型
1992年5月、ミニアルバム『Everything』でメジャーデビュー。デビュー前は、渋谷のライブハウス「La-mama」で活動。1993年シングル「CROSS ROAD」がヒットし、ブレイク。2002年7月、桜井和寿の体調不良にて一時休止。2002年12月にライブを行ったが、本格的復帰は、今回の「掌/くるみ」となった。
■具沢山の歌詞、力が抜けないっす
毎回、じっくりと読まされる詩的ニュアンスのあるミスチルの歌詞。今回も、またじっくりと向き合うことになった。とにかく、「掌」は、歌詞は具沢山だ。力を抜くところがないの。ずっと、テンション高いままで最後までいってしまう。これって、桜井流なんだよね。
ステッカーにして貼られた本物の印
だけど そう主張している方がニセモノに見える
そんな、ありがたい言葉いっぱいの中から選んでみたのは、この部分。世の中のすべての人はオリジナルなわけだけど、物に関していうとオリジナルと模倣されたものがある。それも意図的に模倣されたもの、つまりニセモノがあるってこと。そして、人にはそれを見抜く力がある人とない人がいて、ニセモノを手にする人もいるだろう。高い対価を出す人もいるだろう。でも、考え方によっては、ニセモノでもその人にとって唯一のものとなればよいのかもと思う。自分にとってそれが、本物であればいいのだよ。それより、すべての人はオリジナルと前述したけど、自分のスタイルがオリジナルであるとは限らない。自分のスタイルを持てず、誰かみたいになることで自分を良しとしている人、これは、ちょっと深刻なことかもしれない。ひとつだけでもいいよ、なにか自分のオリジナル見つけようよ。この2行から、こんなことを考えた。
そう、人はみんなオリジナルだけど、生き方までオリジナルかっていうと、それは個人次第。人生って、自分らしさを模索する旅だから、本物と言える自分でいたいね。
■テレビで語る桜井
先週から今週にかけて、テレビの音楽番組に出演していた彼ら。話は、やはり2002年の7月の病気のことに及ぶのだけど、それに対して、明るく答える桜井の姿には「すごさ」を感じた。人って体験によってしか語れないことがある。病気っていうのは、決して望む体験ではないけど、もし、そういうことがあっても、それさえ武器にできる人は強いなということ。これこそ、本物です。実体験の有無で言えば、旅もそう。実際に行ったことがあるのと、想像では違うし、OLの気持ちはOLをやった人にしか分からないし(月9のビギナーでそんな話が出てました)。とにかく体験、経験の大きさや意味を感じたよ。そこで、
掌に刻まれた歪な曲線
何らかの意味を持って生まれてきた証
歌い出しのこのフレーズ。これって、手相のことを言っているんだけど、桜井もベッドに横になって、自分の手相を見たりしたのかなと思った。私は、辛いときに時々掌見つめます。だって、そこには、自分の人生が刻まれてるって思うじゃん。
■サビの言葉遊びの悦
1番のサビの対になる言葉たちが、なかなか面白い。実際、人ってこんなところあるよね。天邪鬼とでも言うのか? とにかく、必ずしも思う通りに行動できなかったりする。2番のサビは、ちょっと当たり前過ぎて残念なんだけど、それは、1番のサビを引き立たせるための手段かもしれない。
抱いたはずが突き飛ばして
包むはずが切り刻んで
撫でるつもりが引っ掻いて
その後に続く、「違った個体で、ひとつにならなくてもいい」っていうのは、もっともだよね。人は、弱いからさ、つい誰かに甘えてしまう。受け入れてくれた瞬間、その人は、自分のすべてを理解してくれたと思いたくなる。だから、自分の気持ちを理解してもらえないと、裏切られたという思いが発生する。そりゃ、わかるけどさ。そもそも、相手は相手であって、自分ではないじゃん。部分的にひとつになる感情があるかもしれないけど、100%ひとつになったのなら、それはふたりでなくひとりになっちゃうからね。ありえないでしょう。でも、恋は盲目だから、恋するとこんな冷静ではいられません。それは、理解します。
公開:2003/12/05 TEXT・みど(c) 2003 RGS680,all rights reserved.