第23回「桜(03.12)」河口恭吾
この曲「桜」がベスト10に入ってくるのを待ってました。最初の発売からなんと9ヶ月を経て、9位にランクインしました。その間、世間では、もうひとつの「さくら(独唱)」が盛り上がっていたんですよね。でもいい曲はちゃんと伝わる。その象徴となりました。
●河口恭吾って?
(→公式サイト)
(→レコード会社サイト)
河口恭吾:1974年10月1日生 栃木県出身
2001年11月21日、インディーズからシングル「真冬の月」でデビュー。2002年2月21日セルフプロデュースによる シングル「ガーベラ」をリリース。2003年2月21日 アルバム『STARS FROM DECADE〜輝ける星たち〜』発売。2003年4月30日に、マクセル・イーキューブから「桜」を発売するが、マクセル・イーキューブがCD販売から撤退したため、2003年12月10日にワーナーミュージック・ジャパンから「桜(03.12)」を再リリース。
■シンプルな言葉が心に残る
有線で5ヶ月連続「問い合わせチャート」で1位を記録したというこの曲。この現象は、情報はないのだけど、ふと耳にしたメロディや歌詞が気になったということの現れだろう。何ていう曲なの? 誰が歌っているの? という疑問。もっとちゃんと聴きたいという欲求。それを喚起させたものは、とってもシンプルなメッセージだった。
僕がそばにいるよ
君を笑わせるから
このフレーズは、語りかけるように歌われている。だから、それはまるで自分だけへのメッセージのように感じられる。「僕がそばにいるよ」は、恋人同士ではよく口にされる言葉だろうけど、身体だけでなく心まで寄せ合うことって難しい。でも、この歌は、心まで側に居ることを「君を笑わせるから」という言葉で告げている。一緒に居てくれても、いつもイライラさせられたら迷惑な話だしね。笑顔でいさせてくれる人=心を寄せられる人。あぁ、理想だね。慌しい現代、キャッチな曲が溢れる今だからこそ、河口恭吾の声の魅力が加味されて、心にしみたんだろうな。
■紆余曲折を乗り越えたからこそ
冒頭にも書いたが、この曲は2003年4月、桜の季節に「マクセル・イーキューブ」から一度発売されている。しかし、会社の関係でプロモーション展開が西日本中心だったため、東京ではあまり耳にすることがなかった。その上、発売会社のCD部門撤退という悲劇まで。しかし、その間も、彼は歌い続けた。
君と歩いていこう
君がいる
君がいる
いつもそばにいるよ
このフレーズは、そんな彼とこの歌のことにも思える。「桜」という曲と歩いた2003年の春、夏、秋、そして冬が来て、再度発売されのだ。偶然にも森山直太朗の「さくら」という同タイトル曲がオリコンを賑わせていただけに、落ち着かない日もあったんだろうな。でも、伝わるものはちゃんと伝わるという証明になった。
そして、ここからは、私の独自調査なのだけど、この曲の作詞曲者は「河口京吾」。微妙に違うこの表記。本人なのか、悩んだ。しかし、公式サイトにこんな言葉を発見。『2年まえの春、部屋から見える桜の花を見たときにでてきた曲。この曲の説明みたいなものをここに書くのはあえて控えたい。それは聴いてくれた人それぞれの「桜」であってほしいなと願う作り手の最後のワガママからだし、もうすでに皆のココロに咲いている「桜」の邪魔をするようなヤボをしたくないので・・・』と、ということで、河口京吾は、河口恭吾の作家名と判定してみました。
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