第91回「影踏み」一青窈
ゴールデンウィークで帰省した人も多いでしょう。そして、両親や兄弟と久し振りに会った人も。そんな家族を思う歌。一青窈「影踏み」を紹介します。
●一青窈(ひととよう)って?
(→公式サイト)
(→レコード会社サイト)
一青窈:1976年09月20日生 O型
父が台湾人、母が日本人の間に生まれる。小学校入学前まで台北で暮らす。以後、日本で生活。中学生の時、Chorus 2+Piano1の編成で歌い、慶応大学環境情報学部(SFC)在学時は、アカペラサークル(K.O.E.)でStreet life liveを行う。父と母を亡くし、その思いを歌詞に託している。2002年10月30日、「もらい泣き」でデビュー。
■家族を思う
父と母をすでに亡くしているという彼女。歌詞に託された言葉に涙がでた。4月29日「めざましテレビ」で生歌が披露された時のことだ。特に「いないときも頑張れたことが」のフレーズが心に迫ってきた。亡くして分かることがあるというが、亡くしてからでは遅い。もし、この春、親元を離れ生活を始めた人は、離れて分かることを実感して欲しいと思う。私自身、親元を離れて分かったことがたくさんある。上京したての頃は、毎日「明日帰ろう」と思って泣いていた。しかし、亡くしてしまったら、帰る場所もないのだ。
嘘でも天の川で
一年一度の約束したい
いないときも頑張れたことが
今になって自信になって
ただ、悲しむだけでなくそれを自信に変えた彼女の強さ。今、彼女はしっかりと自分の足で立っていた。生歌披露の際は、すでに「裸足」でなくても歌えると言い、靴を履いていた。人は独りでは生きられないというけど、独りで居られることは必要だと思う。
■帰る場所
子どもの頃としてよく登場するシーン。「御飯だよ」と呼びに来る母。そんなシーンを思い出す郷愁誘うこのフレーズもまた、心を刺激する。人ぞれぞれにいろんな想い出を持って生きているんだと改めて感じた。いろんな境遇の人がいる。帰る場所がある自分を改めて幸せだと思った。
縄跳び、放りだして
見つけた背中にお帰りなさい
そして、いつか自分が子どもにとっての帰る場所になりたい。無防備に安心できる場所になりたいと思う。子どもに関わる事件が多いこの頃。日本人は、大切な何かを忘れてしまっているような気がする。
公開:2005/05/05 TEXT・みど(c) 2003 RGS680,all rights reserved.