水の冠
鈴木祥子
1989.4.21
EPIC/SONY |
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「Swallow」作詞:川村真澄
アルバム『水の冠』1曲目
久しぶりに川村真澄著の小説「まちがい天使」のページを繰ってみた。1989年12月に完成したこの小説の中には、彼女が書く(いた)いくつかの歌詞の断片がある。この「Swallow」は、小説のラストの、「あんなに帰りたくて帰りたくてしょうがなくて、それでこうして帰ってきたのに、この町は何も変わっていない。何もなかったように風が吹いて、そして信号が赤になる」とリンクする。この小説の肝にもなる部分だ。
人生において、人はいつも自分が主役だ。自分の中での変化が世界の変化に思えるときもある。でも、意外に世界は冷静だ。何も変わっていない町に戻る。「なぜ?」と思うこともあるだろう。そんなとき、変わっていない町に合わせてしまうのではなく、確実に変わった自分に目を向けることこそが必要なのだ。
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「サンデー バザール」作詞:川村真澄
アルバム『水の冠』2曲目
松本伊代が歌った「センチメンタル・ジャーニー」。恋の不安な気持ちを、湯川れい子氏作詞により16歳の少女は「見知らぬ国の 謎の湖 のぞき見たくなる 不思議な気持ち」と歌った。恋の不安は、心を異国へと誘う。
この「サンデー バザール」は、傷心旅行をする女の歌だ。日常生活から逃避することで自分の中の傷から目をそらす。2番で歌われる「本当に迷える迷路を 私は探してる」という歌詞こそ、現実からの逃避を表現した言葉だと私は思うのだ。今、心を痛め、でも、旅に行けない方々は、水晶売りの老人のいる町はどこだろう? そんな空想で、恋の不安から逃避する手も有りだ。そして、一時逃避をしたあとは、上手に現実に戻って欲しい。 |
(2003/4/21公開)
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