ネタはすべってもつかみはOK:笑う招き猫(山本幸久)
以前紹介した「アジア新聞屋台村」の作者・高野秀行がブログで「1966年東京八王子市生まれ」の同級同郷つながりとして紹介していた山本幸久の「笑う招き猫」を読んだ。
高野秀行が「めちゃめちゃ小説がうまい。」「きっとあっという間に直木賞とかもらってメジャーになるだろう。」とほめていたが、たしかに「よくできた」小説である。
登場人物のキャラクター付けや配役、「招き猫」をはじめとした小道具の使い方などが、ほんと見事。「よくできた」小説なのに、わざとらしさや嫌みなところがなく、素直に共感・感動できる作品だと思う。
駆け出しの女性漫才コンビ・アカコとヒトミが主人公なのだが、作中二人が行う漫才や自作の歌もよくできている。こういうのって、そもそも活字になった時点で気恥ずかしいものになりがちだけど、そんなことなくすんなり受け入れられるんだよね。
二人はよく歌を歌ってるのだが、わたしもよく鼻歌歌う人だからなんか共感できるし。
冒頭の二人の初舞台の漫才が、ネタはそこそこなんだけどスベりまくるところ、二人の緊張といたたまれなさがすごく伝わってきて小説としてのつかみはOKって感じ。ここから一気に作品世界に引き込まれるに違いない。まさに招き猫から招かれたようにね。
読書っ子にっきの最新10件
- 面白くも深い短編集:ちょいな人々(荻原浩)
- おくりびとの原作ではありません:ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)(冨安徳久)
- 温暖化したっていいじゃん:ほんとうの環境問題(池田清彦、養老孟司)
- 中谷サンを好きになる:嫌われ松子の一年(中谷美紀)
- 三谷幸喜はアピールリッチ?:格差社会の世渡り 努力が報われる人、報われない人(中野雅至)
- 悩むことは時間の無駄?:朝11時までメールは読むな! 「後悔しない決断」の技術(織田隼人)
- 自慢ですけど何か?:おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由(中島聡)
- 小学5年生がはやるかも:御社の「売り」を小学5年生に15秒で説明できますか?(松本 賢一)
- 映像化しても面白いかも:償い(矢口敦子)
- メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよを歌っていたころの君のことが好きだったよ:Helter Skelter(川村カオリ)
※トラックバックはリアルタイムに公開されず、管理者の承認後公開させていただきます。ご了承ください。
この作者はスベらないし掴みはOKだし。
成長していく感じがリアリティというか臨場感が
あってとっても好きです。
最初のスベったところで掴まれてしまいますね~。
一時期何度も読んでました!、さすがです!
山本さんってどんな才能の持ち主なの!?って思ってしまいます。
ネットで探してみたら、細かく解説しているサイトを見つけました!
http://www.birthday-energy.co.jp
新作「幸福トラベラー」も出たみたいですけど、
今後はもっと活躍が期待できそうですね!!
Posted by ほな at 2013年3月16日
※コメントはリアルタイムに公開されず、管理者の承認後公開させていただきます。ご了承ください。
コメントをページに掲載してほしくない場合、その旨明記してください。