おくりびとの原作ではありません:ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)(冨安徳久)
世間はアカデミー賞の話題でもちきりだ。これはブームにのっかった方がいいと思い「つみきのいえ」ならぬ、つみきみほの話でもしようと思ったが、既に取り上げたこともあるしやめておこう。
そこで、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」に便乗して「ぼくが葬儀屋さんになった理由(わけ)」(冨安徳久)という本を紹介することにした。
「おくりびと」の原作本「納棺夫日記」はアカデミー賞効果で売れているらしい。じゃあ「ぼくが葬儀屋さんになった理由」も同じ葬儀に関する話なので一緒にどうですか? という理由(わけ)だ。
この本は、大学入学前のアルバイトとして葬儀業界にたまたま足を踏み入れた作者が、自ら葬儀会社を設立するまでにいたる自叙伝である。結局のところ一番面白い本は自叙伝だとよく言われるが、世間であまり知られていない葬儀業界が舞台の自伝とあれば面白くないわけがない。
泣ける感動本であり、ビジネスマンの学びや気づきの本、自分探しのヒントを与えてくれる本と、いろんな読み方ができると思う。何かに悩んだり生きるパワーをもらいたい人におすすめできる本だ。
この本によると、葬儀をやっている会社の多くは結婚式もやっているそうだ。葬儀部門の社員の多くは、友人はおろか家族にも葬儀の方をやっているのは隠しているとのこと。それだけ世間からの偏見や職業差別があるそうだ。
「おくりびと」のアカデミー賞受賞の影響で、葬儀の仕事をやりたい人が増え、世間からの偏見も減っているという情報をテレビで見た。この映画によって、世の中からひとつの差別がなくなりつつあるとしたら、こんなステキなことはない。
葬儀の仕事をしているという理由だけで結婚話が破談になったこの本の作者は、この「おくりびと」効果をどう感じているのか聞いてみたいものである。
今日の蛇足
作者である冨安徳久さんの会社のサイトを見てみると、この本の「2009年テレビドラマ化進行中!」という文字が。「おくりびと」効果でヒットするかもよ。
キーワード:おくりびと ぼくが葬儀屋さんになった理由 納棺夫日記 冨安徳久
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