最終話 お姉ちゃん、生きてる者勝ちだよ。
■イシイレイコ
ゆかりの部屋で荷物を片付けていたところへ、ハジメから電話が入る。「555」で携帯に電話番号を登録されていたことに気づかなかったことを侘び、「好き」だと言う。その言葉を聞いて、ハジメのもうひとつの顔を知ったレイコは、ゆかりの自転車でハジメの元へ走る。「歯ブラシの次の一本になりたい、側にいたい」と告げる。しかし、「寒さを寒さで埋めちゃいけない」とハジメになだめられるのだ。
一年後、ゆかりに毒味された先輩と付き合い始めていた。
■アンザイハジメ
ゆかりへの思いに気づき、「もっと話したかった。もっと一緒にいたかった」と留守番電話に向かって思いを告げる。「オレはゆかりで、ゆかりはオレだ。ゆかりは夢を食い倒れた。ゆかりは速やかに、オレは緩やかに自殺してた。だから、金魚を託された、生きろと言われた」と感じていた。
一年後、再び真面目にダンスを始めていた。
■ヨシカワヨシオ
ゆかりが生きているようにナビゲーターを務める「ホロコム」を抱いて、ゆかりのマンションの屋上に何度も訪れていた。しかし、ある日ホロコムを投げ捨てる。そして、携帯に登録された196人のうちの30人余りに電話をする。しかし、自殺の理由は余計に分からなくなり、「あの夜、石井ゆかりは寝酒を飲んで気持ちよーくなって、屋上に出た。足を滑らせた」と、理由は僕が決めると宣言する。
一年後、ゆかりとよく出かけたプラネタリウムで働き始めていた。
■吉川良夫の豆知識
- 四苦八苦といいますね。四九（シク）つまり4×9は36、そして八九（ハック）8×9は72。このふたつ36＋72は108。煩悩の数なんです。人が人でいる限り、人は四苦八苦です。
- 大昔は、映画もテレビもありませんでした。人々は星を眺め物語を作りました。それが星座です。悲しいことに東京では、1971年以来、実に30年以上も天の川が観測されていません。
ゆかりらしさ：宝くじを買っていたゆかり。自殺の翌日に発表されたあたり番号で100万円が当たっていた。これもゆかりらしさ。その100万円は光るものが大好きだったゆかりのために打ち上げ花火となった。
公開：2004/03/14 文・みど イラスト・あし(c) 2004 RGS680,all rights reserved.
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