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第31回:プライド

今回のテーマは「プライド」
フジテレビ系 月曜9:00
公式サイト→http://www.fujitv.co.jp/pride/

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自分でヒッチハイクしようとはしない、というシンドロームかも

(みど):
最近、若い人に自分は特別だとなぜか思っている人が多いように感じるんだけど。どう? そういう教育で育っているから? 人と同じでないと不安なくせに、なんか特別だと思いたがってる。
(あし):
うん。思う。でもその割には自分を否定している人も多い。「自分なんかいなくていい存在なんだ」とか、自分の存在意義を見いだせない人。
(みど):
なんか、極端だね。特別だと思ったり、否定したり。
(あし):
スポ根アニメを見て育ってないからじゃないか。
(みど):
努力という言葉がすり込まれていないってこと? 忍耐とか、根性とか。
(あし):
主人公が一足飛びで一流になるようなアニメなりドラマなりが多いからとか?
(みど):
以前、放談で出たけど、仮面ライダーとかも、選ばれた人間というイメージだよね、って話したね。それが特別っていう感覚なのかなぁ。
(あし):
チャンスさえあれば自分も「何か」になれるかも、ってのはあるかもね。前の放談で話した、みんな「電波少年」でヒッチハイクに連れて行かれればそこで頑張るけど、自分でヒッチハイクしようとはしない、というシンドロームかも。
(みど):
能動的ではないよね。与えられて仕方なくやっているみたいな格好つけみたいなのってありそうじゃない? 自ら選んでやってるとださいと思われるとか本気で思ってそう。最近の風潮として。
(あし):
お膳立ては人にしてもらって、そこでうまく振る舞うのは得意なんだろうな、最近の若者は。

プライド捨てるのも案外プライドいるんだよね

(あし):
で、話戻すけど、キムタクって、結構分かってる人だと思うから、たぶんさっきのセリフの意味は、十分理解してるんじゃないかと私は思ってる。「自分が自分らしくあればいいなんて、ハナっからそういう言い訳用意してるヤツ」批判とか、結構言われて痛い人も多そうだし。キムタクも、「してやったり」と思ったんじゃないかと。
(みど):
そうね。彼は自分で納得しないセリフを言わなさそうだし。自分たちの発言がどれだけ影響力を持っているかも知っているだろうしね。

プライド:石田ゆり子イラスト

(あし):
で、やっと話が戻ったところで、キムタクじゃないですが、市川染五郎が「プライド捨てるのも案外プライドいるんだよね」というセリフを言ってました。
(みど):
「彼女が死んじゃった。」では陣内孝則が「プライド捨てるのもプライドよ」(おかま役だったのでそういう口調で)と言ってましたね。
(あし):
いろんなドラマレビューサイトでも突っ込まれてました。このセリフに関しては、野島伸司してやられたりですね。「彼女が死んじゃった。」の脚本家・一色伸幸に。狙って書いたんじゃないかと勘ぐったり。
(みど):
放送が、「彼女が死んじゃった。」の方が早かったからね。脚本自体は、すでに両方ともあっただろうし。タイミングの問題だよね、きっと。いつか、言わせるだろうと、狙ったってこと?
(あし):
うん、だって、プライドときたら、「プライドを捨てるのもプライド」って定番じゃない。
(みど):
「プライドを捨てるのもプライド」ってすごい勇気のいることだよね。自分にあると思っていた才能がないと認めるのに近いと思う。
(あし):
私は、自分の中で一番大切な部分を守るために、それ以外の部分をいかに捨てれるか、ということだと思うけど。「プライドを捨てるのもプライド」って。「彼女が死んじゃった。」のハジメも、「とんち体操」を子供たちの前で歌うことによりプライドを捨て、でもミュージカルのリハーサルだけの代役を断って一番大事なプライドを守ったんだと思ったけど。
(みど):
プライドって私の中では、ひとつなんだよね。譲れないひとつのもの。だから、それを捨てるということは、いったん無になるってことみたいに思ってる。

周りのみんながそいつのトラウマの理由を知っているし

(あし):
うん、そうか。で、まあ「プライド」登場人物たちもひとりひとり色んなプライドを持ってるわけだよね。みんな口々に「プライド」って言葉を発してるし。でも各人のプライドがなんなのか、あんまりその辺伝わってこない気もするけどね。で、私はこのドラマ「プライド」というより「トラウマ」だと思ってる。
(みど):
「トラウマ」は感じる。みんな、過去の傷に翻弄されすぎているような。
(あし):
一応まとめてみましたので、読者のみなさんも復習してみましょう。

・ハル(木村拓哉)のトラウマの要因
幼い頃母が突然自分を残し失跡

・大和(坂口憲二)のトラウマの要因
貧乏(?)
バイト中バイクで子どもをはねて死亡させている。

・友則(市川染五郎)のトラウマの要因
父の愛人の子供である
周りの人間は金持ちのボンボンとしか見てくれない

・百合(中越典子)のトラウマの要因
家が貧乏だった(そのため金持ちの人しか好きになれない)


ほかに佐藤隆太の、ケガしたせいでプレイするのが恐い、というトラウマ(?)もありました。
トラウマってどうなんだろう。ちょっとテーマとしては古い感じもするよね。
(みど):
確かに、一時期トラウマブームがあったような。そして、この話の中に出てくるトラウマってかなり直球ですよね。それって、トラウマっていうのかなぁ? トラウマってもっと屈折して現れるもののような気がする。
(あし):
確かにストレートです、周りのみんながそいつのトラウマの理由を知っているし。
(みど):
育ち方に問題のある人が集まってますよね。ドラマだから、分かりやすい方がいいとは思うのだけど、同じ境遇でも「オレは、大丈夫だぞ!」なんて思っている人もいるかもね。
(あし):
たとえば、「金八先生」とかでも、問題を起こす生徒は必ず家庭に問題があったりするんだよね。で、そういうのが、家庭に問題がある人→問題を起こす、みたいに世間に刷り込まれるのはどうか、とわたしは気になってたのね。それこそ「同じ境遇でもオレは大丈夫」って人はいるわけだし、そういう人は見ててあまりいい気分はしないよね。
(みど):
そうそう、多かれ少なかれ、家庭ってそれぞれ問題を抱えているわけだし。「家庭の問題がある人→問題起こす」と「家庭に問題が少ない人→問題を起こさない」みたいな式はなりたたないじゃん。
(あし):
なので、安易にトラウマに各人の行動の理由を求めるのは古いのではないかと。まあこのドラマのキャラクターたちは、それでも突拍子のない行動を起こしがちですが。失恋リサイタルには笑った。
公開:2004/03/17;構成:あし イラスト:あし
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