毎週土曜日の23時から放送されている「情熱大陸」。ひとりの人間に密着して、その人の人となりを紹介する番組だ。10月5日の放送で密着されたのは、脚本家として有名な宮藤官九郎。しかし、彼は、ただの脚本家ではなかったんだな。いやぁ、久しぶりに面白かったよ。
宮藤官九郎って?
1970年7月19日生まれ
テレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」、「木更津キャッツアイ」、「ぼくの魔法使い」、映画「GO」、「ピンポン」などの脚本を手がけるほか、劇団「大人計画」では、脚本&俳優を。そして、バンド「グループ魂」ではギタリストを。複数の顔を持つ男。人は、彼のことを「クドカン」と呼ぶけど、本人は自身のコラムで「くんく」と自称しているので、今回の対談では、クドカンとくんくを両方使っています。ちょっと分かりにくけど、ご了承ください。
生き急ぐ男 宮藤官九郎
:最近、社内でダイエットがブームになっていて、お土産で甘いものを買ってきても全然人気がありません。そんな流れに便乗して私も間食をやめているのに、ちっとも体重が落ちずに挫けそうなこの頃です。
:「はなまるマーケット」の「はなまるカフェ」にモッくんがゲストというのに見損ねてしまってショック!ショック!ショック!バージンショーック♪のあしです。解散後初のTV競演(15年ぶり)、見たかったなぁ。
:あっ! さっきまでビデオがあったのに、他の番組を上からかぶせてしまったよ。今、調べたら消えてた。ビデオを保存する習慣がなく、申し訳ない。
:ショックのぱー。
:ごめんねー。
:そっか。では、気を取り直して、本題に入りましょう。
:今日は、10月5日に放送された「情熱大陸」について放談します。
:ほーい。
:私は、9月23日アップの放談をするまで、宮藤官九郎という人を知らなかったのですが。あしさんは、けっこう前から知っていたのですよね。
:いや、世間で彼が注目されたのは「池袋ウエストゲートパーク」あたりなんだろうけど、私が彼の脚本が面白い! と思ったのは「木更津キャッツアイ」だから、私も知ったのは最近です。
:そうですか? 私は、彼の作品はほとんど見ていないのですが、先日の「情熱大陸」を見て、けっこう「くんくラブ」になってきました。(以前、あしさんに彼自身は「くんく」を流行らせようとしているといわれてから、私の中では、彼は「くんく」となっています。)
:「くんく」は「テレビライフ」の彼のコラムで彼自身が使っています。で、「木更津キャッツアイ」は、2002年1月スタートですね。
:1年半以上前ですね。私にとっては、じゅうぶん昔です。
:その後の彼の活躍ぶりはすごかったんだけど(窪塚くんの「GO」、「ピンポン」の脚本とか)、みどさんが知らなかったというのがある意味すごいなと、素直に思った。
:映画は知っているけど、脚本家をまったく意識していなかった。
:世間ってそんなもんだよね、と。情報や好みが細分化されているから。
:ピンポイントで抜け落ちていると。で、放送を見て思ったことなのですが、あの放送を素直に信じると(放送用に演技していないとすると)あれだけ、細かく時間を区切って仕事をする(物を書く)ことができることがまじですごいと思った。
:まとめてばーっとやってないことがってこと?
:そうそう、脚本もいろんなことの合間、合間で書いているじゃないですか? ってそれだけ忙しいから、じっくり腰をすえてする時間はないのかもしれないけど。集中力がすごいなと思った。
:よく分からないけど、頭の中で練る時間と、実際に書く作業とは別なのではないかと。練る時間はある程度まとまった時間がないとだめなんじゃないかと思うけど。
:確かに、書き起こすのは作業だから、時間や場所は関係ないけどね。それにしても、番組内では、彼の睡眠不足っぷりが妙にリアルでした。「大丈夫です、寝てないだけです」って。寝てないのは大丈夫じゃないだろう、って突っ込みたくなった。
:うーん…、芸能人とかってほんとに寝てないみたいね。売れっ子って。
:私は、駄目だ。去年くらいから、とにかく眠らないと仕事にならなくなってきた。
:睡眠は不思議だよね。寝過ぎても眠いし。
:売れっ子になることって、継続するこじゃないですか? あの睡眠不足っていうコンディションのよくない状況で継続していることがまた、すごいなと。
:生き急いでいる感じはするよね、クドカン。
:それは、同感。ただ、こういう集中する時間があって、次のステップにいくんだろうね。
:人生にはそういう時期も必要なのだろう。そのうちゆっくり眠れる時もくるだろうし、今は仕事が楽しい方が勝っているのでしょう。
:眠るより、書いてたいと。
:携帯電話とパソコンがあるおかげで、ああいう仕事のやり方ができているとも言えるよね。功罪あるけどビバ!テクノロジー。
:そうだね。いつでもどこでも直しの依頼がきて、パソコンでばばばーってこともあるし。彼はiBookでしたね。
:そう。白のiBook。「テレビライフ」のコラムで書いてたけど、使い方が全然分かってないって。
兼業感はロイサラのふたりも同じ
:彼の兼業感がいいな、と思った。ドラマ、バラエティの脚本、俳優業、バンド…。
:彼は兼業の人だなっていうのは、すごく思った。「脚本家オンリーにはなりたくない」という言葉はよかったなぁ。それぞれの現場で得たことが他の現場で活きてる感じだしね。
:まあ、われわれも兼業なわけじゃない。目指すところは近いよね。
:だね。兼業という部分では同業者ですな。うまく兼業するのはなんといってもバランス感覚だと思うのね。私は、結構ひいひい言っているので、もっとバランス感覚を養わないと。あと、番組内での煮詰まった時のくんくの行動が、自分と同じで笑った。あしさんは煮詰まるとどうする人?
:あんまり煮詰まらない方かも…。作品を作るときってことだよね?
:そうそう。ネタがでないーーー、って時。
:作品を作るとき煮詰まったら、過去の自分の作品を見るかな。あとは好きな漫画を読む。とり・みきか江口寿史。
:ほう、そうかぁ。私は、まずベッドの上にゴロリとなっちゃう。
:まあ、いわゆる受注仕事でやる気が出ないときとかは「うぉー!!」って叫びたい気分になるときもあるけどね。それが煮詰まるってことか。そういうときは風呂か寝るのがいいよねぇ。
:気分を切り変えることが必要なんだよね。昼間なら、ノートとペンをもって、茶店にいく。
:でもこれからは兼業の時代だと、まじで思うよ。
:最近、雑誌でも週末副業とか週末起業の特集してるよね。
:今の時代には、兼業が必然なのではないかというようなことを最近読んだよ。お笑いのビートたけしと映画監督の北野武みたいに、一人二役でもやらなければ、今の時代、落差も強度も生まれない、みたいなことが書いてあった。
:そういえばアエラから、会社で認めている人の副業の人いませんか? っていう取材の話があったみたい。結局、会社的には受けなかったけど、この号かな。
:要は、どっちもシャレのように見せかけて、マジ。あるいはその逆、みたいな含みをもたせないと、ちゃんと見てもらえない、ということなのかも。
:どっちかを逃げにしてはいけないってことだよね。
(2003/10/14公開)
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