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「マンハッタンストーリー」をどう見た?
:さて、で、昨日放送された「マンハッタンストーリー」が今クールのクドカン作品ですが、あしさん見ました? クドカンの世界は出ていた?
:クドカンらしかったけど、傍流の部分は面白かったが、メインの話はまだ評価できず、かな。今後に期待ってことで。
:ふーむ、私は、初めて彼の脚本を見たのですが、部分的には面白いけど、全体としては、「?」もあった。あしさんの感想に似ているなぁ。
:クドカンの世界というのがあるのなら、それは傍流の部分に現れるだろうから、そういう意味ではまさしくクドカンのドラマだね。
:私が期待しすぎたのと、彼自身が面白くしようとしている部分が見えすぎたのが気になったのかなぁ。
:「ぼくの魔法使い」はもう1話から本流のストーリーも傍流の小ネタも両方面白く、これはすごい! と思ったけどね。「ぼくの魔法使い」よりは今のところパワー不足かも。「マンハッタンラブストーリー」。
:ラブの部分が弱いよね。本人もラブストーリーは初めてだって言ってたけど。
:うーん、それは言えるかも。必然性が薄いよね。もちろんラブは理屈じゃないんだろうけど。
:でも、ドラマでのラブは、現実のラブと違うから、視聴者を納得させたり、共感させたりしないと伝わらないよね。
:ついでながら、ハリウッド映画でのラブの描かれ方も強引なのが多いけどね。なんでそんなにすぐにくっついてるんだよってのが多い。
:ハリウッドは、見る人もそれを求めているからいいんじゃない? 2時間で終わらせなきゃいけないし。
:もともとクドカンは舞台の人だし、舞台的、と見るとラブの深みのなさも納得できるかも。まあ、片思いの連鎖の話、ってのは設定の面白さであるわけだし。
:確かに舞台的かも。ミッチーパワー炸裂だったし。登場人物の個々のキャラは生きてたと思うよ。
:ミッチーは「ぼくの魔法使い」にもゲスト出演してました。
:松岡が正義の味方みたいに、最後に姿を隠してフォローするのが定番になるのかなとも思ったりした。
:そうね、喋るとマスター調ではなくなる、というのがポイントかもね。つけひげだし。
:松岡の役どころも、設定の面白さなのかもしれないね。心の声。
:「不思議Tokyoシンデレラ」とか80年代ワードが小ネタとしてちりばめられているのもクドカン的です。
:80年代ワードが小ネタ。私は、「不思議Tokyoシンデレラ」ってそんなにピンとこないのよ。
:「不思議Tokyoシンデレラ」はネタ元はセイントフォーね。他にもいろいろあったよ、「素直にI'm Sorry」(ネタ元・チェッカーズ)とか。「ロマンスの神様」(ネタ元・広瀬香美)は90年代かな? 「具が多い」は、80年代ワードの「具が大きい」(ネタ元・安達祐実)のパロディだしね。
:そうかぁ、何気なく聞いていたな。
:あと、2時間ドラマネタはみどさんには面白かったんじゃない? 私は2時間ドラマ見ないけど…。
:船越ネタとかね。
:そうそう。船越特別出演だよね。
:2時間ドラマというと、船越か片平なぎさだもんね。明石家さんまの『心はロンリー 気持ちは「・・・・」XI』でも船越は特別出演してたし(2時間ドラマネタで)。
言葉拾いの妙
:クドカンの言葉の拾い方ってすごいと思う。ああ、こういうときにこういうこと言うよね、っていう普通の言葉なんだけど、なんか面白いという。
:番組の中で、脚本書いている時、ひとつずつ声にだして読んでたじゃん。それって大事だと思うよ。
:ミッチーが「キミなんか「あんた」だ!」って小泉にどなったシーン、あの言葉はいいなあと思った。今、言葉の拾い方がうまいのはクドカンとつんくかな、とか思う。作るんじゃなくて、拾うという感覚。
:つんくといえば、あややのバラードで、「公団の駐車場」には参ったよ。主人公の庶民感がですぎて、びびった。
:つんくの拾い方は見事です。いいゴミ捨て場が近くにあるのかな。
:人の話をすごく聞く人なのかも。拾うのもだし、その拾ったものを使う時の料理の仕方がいいなとも思う。
:うん、嗅覚が優れてるのだろうね。創作ではなく編集だよね。要はDJなんだね、二人とも。
:DJかぁ、そうなのかもしれない。あしさんの言うように嗅覚だね。嗅ぎつける感じ。
:そういう意味では、クドカンもつんくも、もともとの本業とはちょっとずれたところに立ち位置をおいていることとも繋がっているのかも。だからこそ、変な気負いやてらいがなく、DJ的に仕事がでいている、と。
:自分が、何かの中に巻き込まれて仕事するのではなく、ちょっと引いたところから見ているってのはあるよね。
:いや、気負いやてらいはあるかもしれないが、芸術家的ポリシーみたいのがないというか。
:それは、感じる。職人ですよね。どっちかというと。
:番組の中で脚本の直しとか全然平気と言っていたのも、だからというのもあるよね。
:放送時間が短くなったっていう連絡が来たときも、たぶん、すごーく「なんだよーー」って思っているのに、プロらしく短時間で処置してたよね。先生になりたくないと言ってたしね。
:そうね。私も立場的には下請け側だから、ああゆう時の「なんだよー」という気分はよく分かる。
:私も同じですよ。
:そこで、より良くしてやろうと思うのは、プロとして当然だよね。発注側にも事情があるのも分かるしね。
:そうそう。創っているこっち側の都合は、発注者には関係ないし。「創ってない人はなんでも言える」、「文句言うなら、お前書けよ」って思ったことも正直あるし。でも、創ってないから見えることもあるって理解したら、ちょっとはクリアできたかな。
:そういえば、「マンハッタンラブストーリー」のプロデューサーの磯山晶さんが「情熱大陸」に出演してましたね。
:磯山晶さんは、何作品もクドカンと一緒にやっている人だよね。プロデューサーとの関係も大きいと思うよ。直しがきたときの気持ち。信頼関係があれば、素直に聞けるし。
:うん、昔からクドカンに目を付けていた人みたい。「マンハッタンラブストーリー」のプレサイトにプロデューサーからのコメントを書いてたから、ちょっと気になってたのよ。
:ほほぅ、読みました。信頼関係を感じるね。ところで、F1とかF2ってなに?
:テレビ業界用語で、Fは女性(Female)。F1層(20〜34歳女性)、F2層(35〜49歳女性)ですね。F1層が一番テレビを見る層と言われています。
(2003/10/14公開)
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